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うちの子英語と日本語が混ざってルー語になってるの。セミリンガルにならないか心配。
ルー語とセミリンガルは全く違うモノです。正しく理解しましょう
この混同されがちなルー語とセミリンガルの違いについて解説していきます。
最後まで読めばルー語、セミリンガルに対する疑問が解消されますよ!
目次
ルー語とセミリンガルは全く別物
おうち英語をしていく中で
「ルー語」と「セミリンガル」
という言葉を聞いたことがあると思います。
この2つは現象的には似ていますが、その本質は全く異なります。
それぞれの違いについて見ていきましょう。
ルー語(code-mixing)とは?
バイリンガル育児において言語が混ざる現象、
いわゆる「ルー語」一般的には
「コードスイッチング(code-switching)」や「コードミキシング(code-mixing)」
と呼ばれます。
これは子供が同時に複数の言語に触れることによって生じる現象です。
ルー語(code-mixing)とは
2つの言語を混ぜて話すこと
下記のようなパターンがあります。
- 単語の混合
単語を一つの言語から他の言語に切り替えて使う。「ごはんを eat する」など。これは特に似たような意味の言葉や音の類似する単語で起こりやすいです。 - 文法の混合
複数の言語の文法規則が混ざり合う。
例えば、一文中で一部分が一つの言語の文法で、別の部分が別の言語の文法で表現されることがあります。「I want to 公園に行く」や「この本は very interesting」 - 言語の切り替え(コードスイッチング)
話者が一つの言語から別の言語に瞬時に切り替える現象であり、バイリンガルの家庭では頻繁に見られます。これがルー語現象の要因になることもあります。
ルー語(code-mixing)は直る?
ルー語は多くの場合一時的であり、成長ともに自然に解消されることが多いです。
一般的には次のようなプロセスで解消されていきます。
- 言語の分離
年齢と共に、子供はより明確に言語を分けるようになります。特定の状況や相手に応じて、言語のルールに基づいて言語を使い分ける能力が発達します。 - 適切な言語の選択
子供は親や周囲の大人の言語使用に応じて、適切な言語で返答する能力を身につけます。 - 言語の発展
どちらの言語でも適切に発達し、それぞれの言語で適切なコミュニケーションを取ることができるようになります。
なぜルー語(code-mixing)が起こるの?
最近の研究によると、
バイリンガル環境で育つ赤ちゃんは、生後数ヶ月の段階から異なる言語を区別して聞き分けることができます。
そして、驚くほど早い段階から言語を区別して理解する能力を持っていることがわかっています。
つまり、頭の中ではしっかりと言語を分けて理解しているのです。
でも、その一方で言葉を混ぜて話す「ルー語」code-mixingが起こるのはなぜでしょうか?
出典:Werker, J. F., & Byers-Heinlein, K. (2008). Bilingualism in infancy: First steps in perception and comprehension. Trends in Cognitive Sciences, 12(4), 144-151.
『話す』までのステップ
それは、「話す」という行為が非常に複雑なプロセスだからです。
言葉を話すときに、私たちの脳内では次のようなことが起きています。
- 音声認識と理解
相手の言葉を正確に聞き取り、意味を理解する - 言語処理
適切な返答を考え、それを表現するための語彙や文法を瞬時に選択する - 発音と抑揚
選んだ言葉を正確に発音し、適切なイントネーションやリズムをつける - 即時性
これらすべてをリアルタイムで行う - 非言語コミュニケーション
適切なジェスチャーや表情も、効果的な会話には欠かせません!
これだけ複雑なプロセスを、二つの言語で同時に行うのですから、時に言語が混ざることがあっても不思議ではありません。
特に子どもの場合、それぞれの言語でこのプロセスを完璧に行うのは難しいでしょう。
つまり、code-mixingが起きるのは自然なこと。
ルー語(code-mixing)ネガティブなことじゃない!
お子さんが日本語と英語を混ぜて話すと不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
言語をきちんと分けて話せないのでは?
という心配になりますよね。
しかし、Ellen Bialystok氏による研究では、code-mixingは子どもの発達にポジティブな影響を与えるとしています。
Code-mixingのメリット
- 言語能力の証
Code-mixingは、両言語を柔軟に操る能力の表れです。言語能力の欠如ではなく、むしろ高度な言語スキルを示しています。 - 認知的柔軟性の向上
2つの言語を使い分けることで、子どもの思考の柔軟性が高まります。これは問題解決能力や創造的思考の発達につながります。 - 実行機能の強化
状況に応じて適切な言語を選択する必要があるため、集中力や実行機能(物事を管理する能力)が鍛えられます。 - メタ言語認識の発達
複数の言語体系を扱うことで、言語そのものに対する意識が高まります。これは将来の読み書き能力の発達にも良い影響を与えます。
この研究では、適切な環境でのバイリンガル教育が、どちらの言語も不十分な状態(セミリンガル)につながるという懸念は否定されています。
むしろ、code-mixingを含むバイリンガルの言語使用は、子どもの認知発達にポジティブな影響を与える可能性が高いのとされています。
このことから、お子さんが日本語と英語を混ぜて話す姿を目にしても、過度に心配する必要はありません。
バイリンガル育児の通過点だと考えましょう!
出典: Ellen Bialystok (2001). Bilingualism in Development: Language, Literacy, and Cognition. Cambridge University Press.
セミリンガル(Semilingualism)とは?
一方、セミリンガル(Semilingualism)とは、
どの言語も年齢相応に話せない状態
新しい国に移住した家族の子どもたちの間で報告されることが多いです。
母国語の発達が十分でないまま、新しい言語環境に置かれることが原因の一つです。
セミリンガルの状態は、次のような特徴を示すことがあります。
- 言語の不完全な習得
一つまたは複数の言語の基本的な文法や語彙が不十分であり、同年齢のネイティブスピーカーと比較して言語的な発達が遅れている状態です。 - 言語の混合
複数の言語を混合して使うことがあり、文法や語彙が混乱することがあります。これはルー語と似ていますが、セミリンガルの場合は言語の発達が全体的に遅れていることが特徴です。 - コミュニケーションの困難
特に学校や社会的な環境で、他の人とのコミュニケーションにおいて困難を感じることがあります。言語的な遅れが社会的な適応や学業の達成に影響を与えることがあります。
セミリンガルの状態は、特に言語刺激の少ない環境で育ったり、移民や異なる言語的背景を持つ家庭で育ったりすることによって生じるケースが報告されています。
この状態からの回復や言語能力の向上には、適切な言語教育やサポートが重要です。
セミリンガルになる可能性
おうち英語では、セミリンガル状態になる可能性が全くないわけではありません。
しかし、日本での育児環境を考えると、そのリスクは一般的に低いと言えます。
日本での状況と、なぜ心配が少ないのか、見ていきましょう。
日本におけるセミリンガルの事例
日本で報告されているセミリンガルのケースを見ていきましょう。
- 外国にルーツを持つ子どもたち
- 外国から日本に移住してきた家庭の子供
- 両親や片親が外国出身で、家庭で日本語以外の言語を使用している子供
- 家庭環境
日本で生まれ育っても、家庭環境などの理由で日本語習得が十分でない子供たち - 帰国子女の一時的な言語の混乱
海外駐在から帰国した子どもたちに、一時的にセミリンガル的な状況が見られることがあります。ただし、多くの場合は適切なサポートにより改善されます。
日本でのバイリンガル教育が安心な理由
- 安定した言語環境
日本は日本語が主要言語であり、日本語環境が安定している - しっかりした教育制度
- 日本の学校教育で基本的な学びが保証されている
- 英語も学校で学ぶ機会がある
インターナショナルスクールに通う場合、英語がより強くなる傾向がありますが、これもセミリンガル(両言語が不十分な状態)とは異なります。
日本語・英語の強さが変わるのは自然なこと
英語が得意な時期、日本語が得意な時期があるのは普通のこと
例えば、英語環境で自宅保育をしているときには英語が強くなりがちです。
一方で、日本語で保育をしていた後にインターナショナルスクールに通い始め、英語で過ごす時間が増えて英語が強くなることもあります。
つまり、子どもの言語能力は環境や経験によって変わるのは自然なことです。
一時的に片方の言語が弱くなる時期があっても、
バイリンガル教育を続けていけば長期的には両方とも伸びていきます。
つまり、日本での環境であれ、インターナショナルスクールのような環境であれ、両言語が中途半端になるリスクは低いと言えます。
出典:Bialystok, E. (2001). Bilingualism in Development: Language, Literacy, and Cognition. Cambridge University Press.
まとめ:ルー語(code-mixing)は大切な過程の1つ
今回は、バイリンガル教育で混同されやすい『ルー語(code-mixing)』と『セミリンガル』の違いについて解説しました。
英語と日本語が混ざると心配になることもあると思いますが、成長過程の一部です。
安心してルー語を受け入れましょう!